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平成 28 年度 つくば市遺伝子組換え作物栽培連絡会会議録
1 日 時 平成 28 年5月 30 日(月) 14:00~16:30
2 場 所 つくば市役所本庁舎2階 会議室 202
3 出席者 委員 11 名 ※ 2名欠席
説明者 6名
4 傍聴人 4名
5 事務局 経済部職員7名
6 会 議 (1)開 会 事務局(農業課長)開会宣言
(2)挨 拶 宮崎座長,事務局(経済部長)挨拶
(3)委 員 紹 介 各委員より
(4)事務局紹介 農業課長より
7 内 容
議事(1) 平成27年度遺伝子組換え作物栽培連絡会経過報告について
【事務局】
事務局より,平成27年度つくば市遺伝子組換え作物栽培連絡会経過報告につ
いて報告いたします。まず,昨年ありました概要についてご説明いたします。 開催,報告日及び内容について順にご説明いたします。
平成27年8月25日,つくば市遺伝子組換え作物栽培連絡会を開催
平成27年9月16日,つくば市遺伝子組換え作物栽培連絡会 圃場見学会を
開催
平成27年9月24日,筑波大学より,雌ずい花弁化八重咲きシクラメンの栽
培実験計画概要の説明がありました。
平成28年3月3日,遺伝子組換え体ではないと認識して,一般のガラス温室
で栽培していたペチュニアが,遺伝子組換え体であると疑われる事案の報告が 農研機構よりありました。内容といたしましては,農研機構より,機構内花き 研究所にて,遺伝子組換え体ではないと認識して一般のガラス温室で栽培して いたペチュニアが,遺伝子組換え体であると疑われる事案が発生し,直ちに応 急措置として隔離施設内に移動し,拡散防止措置をとったとの報告がありまし た。
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歴等について調査を実施中との報告を受けました。翌 4 日,同機構はホームペ
ージで情報公開を,つくば市はプレスリリースおよびホームページでの情報公 開を行いました。
平成28年3月25日,3月3日の続報になります。ペチュニア種子に遺伝子
組換え体が混入していたと考えられる事案についての報告が,農研機構からと 旧農業生物資源研究所からありました。
内容といたしましては,農研機構より 3 月 3 日に報告を受けた事案について
DNA解析等を行った結果,本ペチュニアが遺伝子組換え体であることが確定 されたほか,組換え体の混入が本ペチュニアの分与元である生物研の段階で起 きていた可能性が高いことが明らかになった,との報告を受けました。
同日25日,農研機構及び生物研究所ではホームページでの情報公開を,つく
ば市はプレスリリースとホームページでの情報公開を行いました。
引き続き,平成27年度遺伝子組換え作物栽培に関する経過報告についてとい
たしまして,去年栽培計画を挙げていただきました 8 つの栽培計画の日時を,
ここに掲載させていただきました。
なお,この詳細についてはそれぞれこの後研究員の方から説明がありますの で,読み上げは割愛させていただきます。以上になります。
【座長】
ありがとうございました。ただいまの件につきまして何かご質問あるいはご意 見等がございましたらありましたらお願いいたします。
【一同】 意見なし
【座長】
よろしいでしょうか。ないようでしたら次へ進めさせていただきます。
次は議事の(2)平成27年度栽培実験結果報告及び平成28年度栽培実験計画
です。
栽培実験計画につきましては,昨年度は 8 件ありましたけども本年度は 3 件
となっております。最初に結果報告のみの案件,そのあと実験の行われる案件 について,説明をしていただくことになっております。
なお,恐縮ですが会議の時間が限られていますので,質問等が非常に長引い た場合には説明終了後に改めて時間を設けたいと思いますので,その時にお願 いいたします。
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の栽培について」を国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構から
お願いいたします。
議事(2)平成27年度栽培実験結果報告及び平成28年度栽培実験計画について
① 平成27年度栽培実験結果報告
・開花期制御イネの栽培について
【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
最初に開花期制御イネの栽培につきまして,平成27年度,昨年度の栽培実験
結果につきましてご説明させていただきます。
まず,どうして開花期制御イネかということですが,農業をおやりになられ ている方もたくさんおられますのでわかると思いますが,もちろん作物の花が 咲く時期というのは重要な農業形質です。花が咲く時期が変わりますと,花が 咲くときの植物体の大きさ,開花から収穫までの自然環境も変わります。その ため,この花の咲く時期というのは収量,品質に大きな影響を与えます。例え ば,北海道のイネなどはどんな優れたものであっても,ここら辺,関東地方で 育ててしまうとあっというまに出穂して,出穂というのは穂が出てくることで すが,植物体が小さいままで収量がごく少ないというような性質がございます。 そのため非常に重要な形質です。もし,栽培品種につきまして技術を開発して 開花期を自在に調整できると,応用価値というのが非常に高いということが容 易に推察されます。
それではまず,開花期制御イネとはどういうものかご説明いたします。この
開花期制御イネというものを開発するにあたりまして,イネの開花を制御する2
つの遺伝子を特定することがまず必要になりました。その結果特定できたので
すが,一つはHd3aという,フロリゲンという開花を促進させる遺伝子が存在
するということが分かりました。それからもう一つ,Ghd7という遺伝子も
見つかりまして,このGhd7という遺伝子産物は,フロリゲンという開花を促
進するタンパク質の働きを阻害するということで,開花を抑制するということ が分かってまいりました。そこでこれらの遺伝子を用いまして,開花期制御イ ネというものを開発したわけです。どういうカラクリを使ったかといいますと, まずこのGhd7という,開花を抑制する遺伝子を常に働かせるような遺伝子 カセットをイネに導入しました。それと同時に,植物抵抗性誘導剤といいまし て,ある種の農薬をかけた時のみに下流の遺伝子を発現させるような制御領域, と開花を促進するフロリゲンという遺伝子を繋いだ,発現カセットというもの,
この 2 つのカセットを導入しております。この遺伝子組換えイネですが,何も
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と花が咲くことが出来ない性質を持っています。ところが,ある種の農薬,植 物抵抗性誘導剤という薬剤を与えるとこの制御領域が活性化しまして,開花を 促進するフロリゲンという遺伝子が出てきます。この状態でございまして,ブ レーキを踏んでいるわけですが,かたやアクセルを開くということで,植物抵 抗性誘導剤を処理したときのみ開花するという事例を作成しました。これらの イネでは,閉鎖系では思い通りに農薬をかけた時だけ,開花を誘導するという 性質が出現できたことを示すことができました。無処理の場合は,ずうっと花 が咲きません。これをまた株分けしても無処理だと咲かないのですが,開花誘 導処理,薬剤処理をした時だけ花が咲くということでございます。温室の実験 におきましては,先ほど申し上げた通り,しっかりと植物体が大きくなったと きに花を咲かせる,というような試験も成功しております。
昨年度の隔離ほ場栽培の目的でございますが,さきほどご説明したような性 質が,屋外で再現されるかということを確認することが目的でございます。水 田栽培での誘導能力の確認ということで,水田栽培で薬剤処理をした時に開花 が誘導されるか,その薬剤の処理の条件というものを検討するのが栽培の目的 です。それと収量や品質への影響の確認をするということで,屋外で栽培をい たしました。
それでは栽培の概要について,ご説明させていただきます。栽培目的としま しては,先ほど申し上げたようなデータ収集,開花誘導の確認が屋外で観察さ れるか,ということを確認するためのものです。
栽培場所ですが,旧農業環境技術研究所にあります隔離ほ場の枠水田という ところで栽培を行いました。
栽培の経過につきましてですが,4月5月に閉鎖系で苗を育てまして,5月 の終わりに田植えを行っております。あとでご説明いたしますが,モチミノリ というものを花粉飛散による交雑モニタリングのために配置しております。そ のあと栽培試験を行いまして,本年の1月にすき込み,栽培を完了しておりま す。こちらが栽培経過となります。
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モチ品種をポット栽培で栽培して熟した後にお米を観察することによって,① から⑥の場所まで花粉が飛んで交雑が起こっているかどうかを確認できる,と いうことで確認しています。こちらのイネは開花期制御イネなので開花期がば らついてしまうのですが,うまく合うようにイネに日長処理,あるいは撒く時 期をいろいろずらすなどして,組換えイネと開花時期がうまくオーバーラップ するようにしております。その結果,取り囲むように配置したモチの個体に実 った種,14000 粒余りを調査したところ,うるち米はひとつも観察されず,す なわち交雑は認められなかったということでございます。開花期制御イネの説 明につきましては以上になります。よろしくお願いします。
【座長】
ありがとうございました。ただいまの件につきまして,何かご質問あるいはご 意見等がございましたらありましたらお願いいたします。
【一同】 意見なし
【座長】
よろしいでしょうか。続きまして,「葉緑体形質転換タバコの栽培について」こ
れも結果報告ということになります。よろしくお願いいたします。
・葉緑体形質転換タバコの栽培について 【農業食品産業技術総合研究機構:研究員】
ここで行いました試験は,葉緑体形質転換タバコで Cry43Aa1 という,これ
は殺虫性タンパク質ですが,これを大量発現したタバコを作りまして,これの 特性評価をするという目的で行いました。ここで発現しているタンパク質は土 壌細菌でして,それが作る殺虫性のタンパク質です。よく殺虫性のタンパク質
でBtトウモロコシとか言われていますが,それとは種が違いますが,結果とし
て機能は基本的に同じで,ただこれは甲虫類に対して殺虫性を示すタンパク質 です。これを葉緑体に導入して高発現させ物質生産を行わせるというもので, 実際それがどのくらい物質生産するのか,それから生育特性はどうかというこ とを調べております。
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細胞にはだいたい 100 個くらい葉緑体があり,一つの葉緑体にはだいたい 100
個くらい独立した DNA を持っています。ということは,一つの細胞に 10000
個くらいのDNAがあるので,それがもし全部形質転換になれば,核に入れるよ
りも 10000 倍多くタンパク質を作るということになります。そんなに上手くは
いかないのですが,だいたい平均して 50~200 倍くらい多くのタンパク質を作
ることが知られています。この体を使って物質生産しようということです。
もう一つ,葉緑体形質転換のいいところは,葉緑体に入れたDNAは花粉のほ
うに移りません。従って花粉を介した遺伝子拡散が,基本的に起こらないとい うメリットがあります。
こういうものですが,唯一欠点は,この技術は非常に難しいので,タバコや レタスなど一部の作物でしか安定して成功してないということで,このタバコ の野外試験も日本で初めてですし,世界的にもあまり行われていない栽培試験 になります。先ほど申し上げましたように,作らせたのがコガネムシを殺すタ ンパク質です。実際コガネムシの害ということで,サツマイモを放っておくと このような食害を受けます。このタンパク質を土壌に撒くことによって,無処 理ですとかなり食害されているものが,このタンパク質を製剤化して一グラム
あたり 3×10 の9乗個,かなりの量ですが,それを撒くとこの害が非常に少な
くなるということが分かっています。これを当初は,ある企業さんが大腸菌の タンパク質を作らせて実用化しようとしていたようですが,生産コストがとて も合わないということで,植物で作らせてみようということで,そのトライア ルとしてやっております。
結果ですが,2月20日から播種して育苗を開始して,ほ場へ定植したのが4
月28日,花粉飛散があっても問題ないとなっておりますが,一応防風ネットを
張り,7月10 日に開花を始めて10 月下旬に収穫を終えております。ただ今年
は越冬性というのを見たいので,株を何株か残しまして冬を越させました。意 外とタバコというのは寒さに強くて,イネですと年末にはだいたい寒さで枯れ
ますがタバコは枯れあがりません。結局,年が明けて霜が降りてから枯れ,2/3
に全ての栽培を終了して片づけをしております。イネですと花粉飛散をするモ ニタリングをしますが,葉緑体形質転換植物では遺伝子は花粉に伝達されませ ん。ということで,花粉を介して遺伝子拡散がないのでモニタリングはしなく てもよいということを農水省と相談して,そう指示をされましたのでモニタリ ングは行っておりません。なお,このタバコは今年栽培していませんが,基本 的なデータは取り終わりましたので,実用化するのであればどうするかという ことは,今後検討していきたいと思っております。以上です。
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ありがとうございました。ただいまの件につきまして何かご質問あるいはご意 見等がございましたらありましたらお願いいたします。
【一同】 意見なし
【座長】
よろしいでしょうか。ないようでしたら次に移らせていただきます。次は「高 オレイン酸含有及び除草剤耐性ダイズの栽培」について,よろしくお願いしま す。
・高オレイン酸含有及び除草剤耐性ダイズの栽培 【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
高オレイン酸含有及び除草剤耐性ダイズの昨年度の栽培とその結果について, ご説明させていただきます。
世 界 で は 遺 伝 子 組 換 え 農 作 物 と い う の は 大 い に 使 わ れ て お り ま し て , 1 億
8000万ha,日本の国土面積の3.7 倍で栽培されており,作物としてはダイズ,
トウモロコシ,ワタ,ナタネなどがほとんどという状況になっております。さ らにそのうちのほとんどが「除草剤耐性」や「害虫抵抗性」といった栽培管理 上の利点を持っております。近年では,乾燥ストレス耐性等の栽培管理上の利 点を持つ作物も実用化されていますが,近年では消費者にメリットのある性質, 例えば栄養改変などの機能性を持つ作物も開発され実用化されております。
昨年度栽培したダイズというのは,栄養性改変を行ったものでございまして, 高オレイン酸含有という特徴がございます。それともう一つ,栽培管理上の利 点ということで除草剤耐性,こちらはグリホサートという除草剤及びビスピリ
パックという除草剤,この 2 種類に対して抵抗を持っております。こちらの方
を栽培しました。
高オレイン酸含有がどういうことかについて簡単にご説明いたします。ダイ ズの油は安い油ということで,世界的に広く使われておりますが,世界的にみ るとダイズは油糧作物です。油をとるための作物です。
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ご存知のように,トランス脂肪酸は健康に悪いと言われてますが,水素添加 をいたしますとトランス脂肪酸が生成されるため,このような改変を行わない 方がよいので非常によろしいということになります。
それからオレイン酸は,実はオリーブオイルやべに花油などに多く含まれて いますが,いわゆる悪玉コレステロール値を下げて善玉コレステロール値を低 下させない,という有用性が示されております。ダイズの中では,油の合成の 際にオレイン酸がこの酵素でリノール酸にされ,さらにこの酵素でリノレン酸 にされるという整合性経路を持っているわけですが,このダイズが持っている 酵素の働きを抑えたのが,高オレイン酸含有ダイズになります。
それから,このダイズの持つもうひとつの性質でございます除草剤耐性です が,こちらは栽培管理上の利点があります。そもそも大規模耕作地では,物理 的な除草は困難であります。
そこで除草剤を使うのですが,雑草と作物というのは基本的に同じ植物なの で,雑草のみに覿面に効果を示す除草剤を開発することは困難であります。大 量に使用する必要性等々もございますので,出来れば除草剤の使用量は減らし たい,一発できちんと雑草のみを枯らせる除草剤が使いたいということす。そ こで発想の転換ですが,もともと農地ではない非農地用の,例えば公園や道路 の除草に使われていました,非選択的除草剤に耐性のある作物を開発できれば, 除草のコストや手間などを劇的に減らせるのではないかと思い,この非選択性 除草剤に耐性をつけたものが除草剤耐性作物となります。栽培したものはこう いうものでございます。
栽培目的ですが,遺伝子組換えダイズの栽培におきまして慣行除草,いわゆ る非組換えダイズの栽培に使われるような栽培管理を行ったものと,先ほど申 し上げた非選択性除草剤という除草剤を用いた時の除草の双方により,管理コ ストと除草効果の比較を行うことが栽培の目的でした。
栽培の場所ですが,旧農業生物資源研究所の本部地区にある畑ほ場で栽培を 行っております。
栽培経過ですが,6月の頭に播種を行い,7月8月に調査を行って完熟前に抜
き取り,裁断,鋤込みを行うことによって栽培を終了しております。栽培にあ たりましては,農水省で交雑,混入を防止するための栽培実験指針が定められ ておりますので,こちらを遵守して行いました。ダイズにつきましては以上に なります。
【座長】
9 【一同】
意見なし
【座長】
よろしいですか。それでは続きまして「害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコ シの栽培」について,お願いします。
・害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシの栽培 【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシの昨年度の栽培について,ご報告さ せていただきます。
世界的な状況は先ほどご説明した通りでございますが,トウモロコシも遺伝 子組換えの割合が高くなっている作物でございます。今回栽培したトウモロコ シの特性としては,一つは害虫抵抗性というものが導入されております。もう 一つは,先ほどのダイズと同じ除草剤耐性で,こちらはグリホサートという除 草剤に対する抵抗性がございます。
害虫抵抗性トウモロコシについて簡単にご説明します。もちろん作物にはい ろいろな害虫がございまして,トウモロコシの中で非常に大きな問題になるも のは,シンクイムシという,茎の中にもぐりこんで幼虫,イモムシのようなも のを送り込んで中を食害する,そういう害虫が非常に問題になります。こちら は遺伝子組換えトウモロコシに害虫がつくとどうなるか,ということを示した ものですが,穴をあけて中をガリガリ食べるのでもちろん生育が悪くなります し,そもそも物理的に強度が弱くなるので,ここで折れてしまい収量が望めな くなります。
もうひとつ,トウモロコシは全身皮に囲まれていますが,その皮を食い破っ てしまうため,食べるところ,例えばスイートコーンの皮の中にもぐりこんで しまうとカビも生えてきますし,その中で動き回るとカビが非常に繁殖してし まうので質も悪くなります。それに対し害虫抵抗性のトウモロコシは,昆虫は 来ますが,中の方に食べていくことができないので,茎が折れることもないで すし,カビが生えることもないということです。
これがどのように害虫抵抗性になっているかですが,先ほどBtという言葉が
ありましたが,Bt毒素はバチルス・チューリンゲンシスという土壌細菌がもと
もと持っている毒素タンパク質でありまして,Bt毒素タンパク自体を殺虫剤と
して使うということもございまして,そのパッケージの説明をクミアイ化学さ
んのページから持ってきました。このバチルス・チューリンゲンシス菌のBt毒
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て活性化し,腸の表面に取り付いて細胞を破壊します。そのタンパク質を植物 体で発現するように,トウモロコシの中で生産するようになったものが害虫抵 抗性トウモロコシです。
では,栽培について説明します。栽培目的は,無防除の遺伝子組換えトウモ ロコシと殺虫剤を施用した慣行栽培,非遺伝子組換えトウモロコシを栽培する ときに使う殺虫剤を使ったとき,の害虫防除における効果とコストを比較する のが目的となります。
栽培場所ですが,旧生物研の本部地区にある畑ほ場になります。
栽培経過ですが,6月5日に畑ほ場に播種をして7月8月に各種調査を行い,
9月下旬に栽培を終了しております。先ほど申し上げた通り栽培実験指針があり
ますので,こちらを遵守し,交雑防止,混入防止措置をとり適切に栽培を行っ て終了いたしました。トウモロコシですが植物体の上に雄花ができ,そこから 大量の花粉を飛ばします。それに対する交雑防止の措置として,遺伝子組換え トウモロコシのおしべは開花前に切って捨ててしまいます。
ただし,その隣には遺伝子組換えでないトウモロコシを栽培していますので, 実がつくときにはその花粉で実がなるということです。栽培の経過については 以上となります。
【座長】
ありがとうございました。ただいまの件につきまして何かご質問あるいはご意 見等がございましたらありましたらお願いいたします。
【質問者】
虫が食べて細胞の組織を破壊するという状況で,人間が食べて大丈夫なのでし ょうか。
【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
もちろん,そういう毒素を使うものですから,その点については十分に検討
されております。Bt毒素というのは,鳥類とか哺乳類とかの酸性の消化液を持
った動物では作用しません。まずひとつ,Btタンパク質というのが活性化する
ためには,昆虫が持つアルカリ性の消化液で部分分解される必要がございます。
Btタンパク質というのは非常に安定していて結晶のような状態になっており,
要するに溶けなくて,それが作用するには昆虫の体内で部分分解されると,初 めてこういう毒素活性があるタンパク質の状態になります。
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うな受容体と呼ばれるものが出ています。このレセプターがまず昆虫にしか存
在しないものです。Bt毒素タンパク質は非常に特異性が高く,例えば,先ほど
紹介した葉緑体形質転換タバコを作るタンパク質はコガネムシに効くという話 をしましたが,コガネムシは甲虫類ですね,甲虫類を殺すタンパクですが,例 えば鱗翅目昆虫と言って,蝶やガの幼虫に関してはこのレセプターの形が違う
ので効かない,それぐらい特異性が高いものです。だから,このBtタンパク質
を鳥類,哺乳類が食べても,そもそも原理的に作用しえない,ということにな
ります。それから,バチルス・チューリンゲンシスのBt毒素タンパクは,この
毒素タンパク自体が先ほど申しあげたように農薬の殺虫剤として,生物農薬と して使われていますが,これの安全性が非常に高いということで,この殺虫剤 を使ったものは有機農産物の表示をしてもいい,ということになっております。 以上です。
【座長】
今のご質問は誰もがある疑問だと思うので,ほかに今みたいな素朴な疑問で 結構ですので,何かありましたらお願いします。
【一同】 意見なし
【座長】
よろしいですか。では次に行かせていただきます。「スギ花粉ペプチド含有イ
ネの栽培について」お願いいたします。
・スギ花粉ペプチド含有イネの栽培について 【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
本日は 2 種類のスギ花粉イネについて報告させていただきます。どうぞよろ
しくお願いいたします。
まず,研究の背景ですが,スギ花粉症の患者の方は全国でおよそ 3 割,東京
都内などでは 5 割という報告もございます。その治療法としては現在,一時的
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も伺っております。スギ花粉症の場合は,スギ花粉の中のアレルゲン,そのア レルゲンを含むエキスを病院で注射あるいは舌下投与して治療します。去年の
日経新聞に記載されていた厚生労働省の報告ですが「スギ花粉免疫療法で 8 割
が改善」という報告があり,確かにスギ花粉症についても免疫療法は有効だと いうことがわかってまいりました。
ただ,大きな問題がひとつあります。それは安全性です。投与量が多ければ 多いほど効果があるということがわかっていますが,大量のアレルゲンを投与 しますと,ショック症状を引き起こし最悪の場合は死に至ってしまいます。そ ういう問題点を解決するために医療関係者,あるいは基礎研究者がいろいろ研
究を進めてまいりました。それではアレルゲンを IgE との結合性の低いような
アレルゲンに改変したら安全性が高められるのではないか,あるいは注射では なく経口投与,食べたり飲んだりした方が,効果が高いのではないかというこ とが動物実験からわかってきました。このような背景の中で,わたくしどもイ ネの研究者は,それでは安全な改変アレルゲンをお米の中で作らせて,それを 食べることができれば,今まで行われている安全性に問題がある治療法よりも, より安全で効果が高くて痛くない治療法が実現できるのではないか,というこ とを期待しながら研究を進めております。
こちらにありますように,一定期間お米を食べますと免疫寛容が引き起こさ れます。これは体内に侵入したスギ花粉などに際して過剰な反応をしなくなる
という免疫寛容です。もうひとつご紹介したいのですが,去年の日経新聞です。
実は,ここ何年か隔離ほ場で栽培して収穫したお米があります。それを臨床研 究ということで,患者さんに食べていただきました。そうすると「花粉症,お
米を食べて抑制」とありますが,2週間お米を食べ続けると効果が出始めるらし
いということがわかってまいりました。現在こういった研究状況でございます。
本日ご報告する2種類のイネのうち,ひとつめのイネを紹介します。「スギ花
粉ペプチド含有イネ」と名前を付けていますが,こちらのイネでは,スギ花粉
のアレルゲンである Cryj1 あるいは Cryj2の中のこういう一部分,これは安全
でしかも効果があることがわかってきたT細胞エピトープ,あるいは日本語で はT細胞抗原決定基といいますが,このT細胞エピトープを一つのこのような
分子にまとめて,それをお米の中で作らせている,そういうイネでございます。
もう1種類のイネにつきましては,安全性を高めるため,Cryjタンパク質の
1/3程度を発現させることによりIgEとの結合性がなくなってくることが分かっ
てきました。そのためCryj1全体ではなく1/3,1/3,1/3と断片化したものをお
米の中で作らせる,あるいは Cryj2 については青,赤,黄色というようなアミ
ノ酸の配置順序を,黄色,赤,青のように入れ替えると IgE との結合性がなく
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たお米「スギ花粉ポリペプチド含有イネ」と名前を付けていますが,このイネ を開発しました。
平成27年度は2種類のイネを栽培いたしました。
まず,ペプチドイネにつきましては,旧作物研の高機能隔離ほ場で 4 月から
田植えを行いました。気候も特に不順な点はなく,作業の点でも特に異常はな
く,順調に収穫まで終わりました。それが9月15日で,いろんな処理,鋤込み
や清掃まで終えております。また,モニタリングも行いました。隔離ほ場の周
囲,①,②,③,④の 4 ヶ所にはくちょうもちを栽培しまして,そのもちを収
穫し,先ほどの報告にありましたようにもち玄米か,うるち玄米かを調査をし
まして,その結果,はくちょうもち 12543 粒のうち,うるち玄米 0,もち玄米
12543粒で,花粉飛散による交雑は認められませんでした。
もう一方のイネの栽培につきまして,こちらも順調に作業が進み,5月の下旬
に田植えをした後,夏を超えまして10月の中旬に作業を終えております。こち
らのイネにつきましてもモニタリングを行いまして,赤い丸で示しました①か
ら⑥の地点でモニタリングを行いましたところ,13728 粒すべてがもち玄米と
いうことで,こちらも花粉飛散による交雑は認められませんでした。
平成28年度は,2種類のうち1種類,スギ花粉ポリペプチド含有イネの栽培
を計画しております。目的と場所は昨年と同じで,生物研の隔離ほ場を用いて
おります。栽培予定とありますが,実際 5 月中旬から播種,育苗は始まってお
り,田植えは明後日の6/1を予定しています。こちらが隔離ほ場の地図です。水
田1から水田6 まで6面の水田があります。後日,現地を視察していただく際
に,また現地でご説明したいと思います。今年はモニタリングについては,青
い文字の①から⑩の地点で,関東糯 236 号を栽培してモニタリングを行うこと
としています。
それから,交雑防止措置,混入防止措置,その他の処理方法について説明い たします。交雑防止措置としまして,組換えでの栽培実験区画は最も近いほ場
から 200m離れており,また研究所内の同種栽培作物から 30m以上隔離距離を
とる,という栽培実験指針に従っております。低温または強風の場合は,防風 ネットで抑風するなどの防止措置を取ります。また,花粉飛散による交雑をモ ニタリングいたします。混入防止措置も昨年度と同様に,きちんと行いたいと 思っております。試料の保管については,漏出しない構造の容器等に入れて適
切に保管する,また,作業に使った機械等については専用の機械を使用するか,
外に出すときは入念に洗浄する,これを徹底します。そして,防鳥網を設置い たします。
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刈り取って焼却するか,ほかのイネとともにほ場内にすき込むことにより,確 実に不活化いたします。
最後に,つくば市とのお約束ということで,緊急事態,異常事態が発生した 時には,その状況把握と原因究明を徹底し,さらなる事態の防止措置を取りま す。そして,その措置内容を速やかに関係者の皆様に情報提供する,あるいは ホームページにて掲載します。防犯措置としまして,フェンスの点検や出入口 の施錠,見回りなどとともに,わたくしどもが扱います隔離ほ場は,赤外線セ
キュリティが24時間設置されており,そういう防犯措置を取っています。何か
異常があった場合には適切に対応し,必要に応じ関係者の皆様に速やかに情報 提供することとしています。以上です。
【座長】
ありがとうございました。平成28年度の計画も話されたわけですね。(2)の,
まずはスギ花粉ペプチド含有イネの栽培についての報告のところまでで何かご 質問,ご意見ある方はお願いいたします。
【質問者】
素晴らしい研究だと思います。スギ花粉症で悩んでいる方はたくさんいらっ
しゃいますが,日経新聞の報告の中で,この米を食べたら 2 週間で結果が出た
というお話がありましたが,このお米が流通するようになったら食べ続けなく てはいけないのか,それともスギ花粉が治ったらもう食べなくていいのか,と いうことを教えていただきたいです。
もう一点は,注射等をする場合は害があるというお話がありましたが,この 米について食べ続ける場合,害等があるのかないのか,わかる範囲で結構です のでお願いします。
【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
このお米につきましては,医薬品レベルでの動物実験が行われていまして, その試験ではまったく異常が見られていないという結果が出ております。その 結果がすべてではないかもしれませんが,今わたくしどものできる限りでの科 学技術を駆使して安全性を評価した限りでは,安全性について全く問題ないと いうふうに考えています。また,お米を食べ続けないといけないかどうかにつ いては,今後の臨床試験でこの点が研究されるかと思います。
ただ,ひとつ申し上げられることは,スギ花粉のエキスを注射した免疫療法,
厚生労働省の結果では,3年程度注射した患者の方が治り,そのあと何もしなく
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粉のエキスの注射の場合とスギ花粉のお米の場合とではまったく同じではない
ですが,そのメカニズムは,もし応用できるとすれば,1年間食べて治ったとす
ると,2年3年4年5年はその効果が続くのではないかと期待しております。
【質問者】
ありがとうございます。
【座長】
今のスギ花粉ペプチド含有イネの栽培について,ほかに質問ある方お願いし ます。
【質問者】
これは,あくまでもスギ花粉症にかかっている方への薬の代わり,というこ とで理解してよいでしょうか。一般の方が食べたらどうなるのでしょうか。
【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
開発者としましては,治療薬として開発しております。
ただ,私自身,動物実験や基礎実験を行っておりますが,このお米は治療効 果がありますし,実は予防効果もございます。例えば,マウスの赤ちゃんにお 米を食べさせると,そのあと何か月も花粉症にはならない,というのを私自身 実験しておりまして,それが人に適用できるのであれば,小さいころにお米を 食べるとずっと花粉症にならないという予防効果も期待できるのではないか, と私自身は考えております。
【質問者】
ネズミの場合は,かなり小さいころから食べさせればそうなるということで すか。例えば,アダルトになってそれから食べさせた場合,どうなるのでしょ うか。
【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
マウスの場合は,実際投与できる月齢というのがだいたい生後 4 週とか 6 週
くらいだと思います。その生育初期に投与しても,あるいは生後2ヶ月3ヶ月 大人になったマウスに投与した場合でも,同じように効果は得られております。
【座長】
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意見等がございましたらありましたらお願いいたします。 【質問者】
座長の専門が,機能性食品の研究をやっていると先ほどあいさつの中であり ましたが,今のところ,米以外でスギ花粉に効くような機能性食品は,先生の 研究の結果ではありますか。
【座長】
私のほうは対象をあまりこれに置いてないので,詳細なデータというのは把 握しておりません。逆にどうですか。こういうのをやらなくても,他のもので 代替できる,そういう情報がもしあったらお願いします。
【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
新聞とかテレビの受け売りですが,ある種のヨーグルトであるとか,何々菌 が入っているというヨーグルトは,実際に臨床研究レベルの試験がなされ効果 があったという報告を拝見したことがあります。
【質問者】
ありがとうございます。
【座長】
では(2)①の平成 27 年度栽培実験結果報告全体に関して,開花期制御イネ
の栽培から今のスギ花粉ペプチド含有イネまで,これに関して何かご質問ある いはご意見がありましたらお願いします。
【一同】 意見なし
【座長】
よろしいでしょうか。では(2)②「スギ花粉ポリペプチド含有イネの栽培に
ついて」は平成28年度分はお話しいただいたので,次の「複合病害抵抗性イ ネの栽培について」お願いします。
② 平成27年度結果報告及び平成28年度栽培実験計画について
・複合病害抵抗性イネの栽培について
【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
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昨年度の栽培結果及び本年度の栽培実験計画について,ご説明させていただき ます。
我々は,イネがもともと持っているWRKY45という遺伝子を,遺伝子組換え
技術で強化しまして,複数の病気への抵抗性を示す複合病害抵抗性イネを作出
することに成功しました。この3つのパネルですが,これはイネにいもち病菌,
白葉枯病菌,ごま葉枯病菌,3種類の病原体を接種試験したものです。左側が遺
伝子組み換えしていないイネ,右側がWRKY45遺伝子を強化したイネ,それぞ
れの接種試験の結果を示したものです。左側の日本晴という品種ですが,こち らのほうでは,例えばいもち病をかけますとぽつぽつとした病斑が出ます。そ れから白葉枯病というものは,菌液を浸したはさみで葉の先を切るのですが, そうするとそこからバクテリアが入って枯れていきます。これに対して,強化 イネでは病斑数の進展が著しく抑えられ,抵抗性であるということがわかると 思います。こちらはごま葉枯病で,いもち病と同じようにカビが原因の病気で すが,こちらも病斑数が極めて少なくなっていて,抵抗性になっていることが お分かりになると思います。
この複合病害抵抗性イネにつきまして,どうして複合病害抵抗性になったか ということを簡単にご説明いたします。農薬の中には,抵抗性誘導剤というも のがございます。これは病気を防ぐためのものですが,この抵抗性誘導剤とい うのはちょっと面白くて,いわゆる殺菌剤とは違い,農薬成分自体が直接病原 菌を攻撃するようなものではございません。この薬を植物にかけますと植物自 体に抵抗性が誘導されることにより,病気に強くなるということです。これは 作用として面白いので,我々は,この抵抗性誘導剤がどのようにイネに作用し て抵抗性を獲得しているのか,その原理を明らかにしたいと思いました。その 結果,この農薬をかけられたイネでは,抵抗性にかかわる多数の遺伝子が活性 化し,抵抗性になっていることがわかってきまして,さらにこの多数の遺伝子
を活性化させるために,WRKY45という遺伝子が指令を出していることが分か
りました。すなわちこの農薬をかけると,WRKY45遺伝子が活性化して,その
下流にある多数の遺伝子を活性化する,すなわちWRKY45遺伝子が反応のキー
になっている,ということがわかりました。そこで私たちが考えたのは,この WRKY45というイネがもともと持っている遺伝子の働きを強化してやると,農
薬を散布する必要がない抵抗性になったイネが得られるのではないかというも ので,WRKY45遺伝子を遺伝子組換え技術で働きを強くしてあげたら,予想し た通り複数の病害に対して抵抗性を得ることができました。
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ています。国内で生産する飼料作物として飼料用イネというものが,今までの 栽培のインフラが使えますので,それを生かして飼料用イネを生産するという ことが重要ではないかと考えていますが,主食用のイネと違い,買取価格が安 いので低コスト栽培が必須でございます。そこでこの技術を用いることにより 低コスト栽培や収量増が実現できるのではないかと考えております。
それでは昨年度の栽培結果についてご説明いたします。私たちは毎年だいた
い水田と畑の2か所で栽培しております。
まず,水田の栽培結果についてご説明いたします。目的としては,系統ごと
の特性調査を行うということで,生育,収量調査,抵抗性調査などを行います。
昨年栽培したのは,旧生物研本部地区隔離水田で,田植えを5月 27 日に行い,
さまざまな調査を行って10月6日に収穫,10月15日に残渣のすき込み等を行
って栽培を終了しました。先ほどから花粉飛散による交雑モニタリングを行っ ていると説明しましたが,こちらも交雑モニタリングを行っております。この
地点でもちを栽培して,玄米を観察しました。交雑を示すうるち米は 0 粒で,
交雑は認められませんでした。
それから,我々は昨年度,畑でも栽培を行いました。水稲ですが畑で栽培し ています。どうしてかといいますと,こちらはいもち病検定と言って,畑晩播 法というものを使っております。いもち病に関しては,遅く撒いて幼苗期に雨 に当てたり,あるいは畑作条件,多肥条件,密植といったような条件で育てる と,非常に葉いもちが出やすくなります。我々はさらに,試験したい植物の近 くに感染源を作っておきまして栽培することによって葉いもちを評価する,と いうことをやっています。栽培場所ですが,旧農業環境技術研究所の隔離ほ場 にある畑を使っております。昨年度ご説明した計画では,第二作やると説明し ましたが,第一作の栽培が非常に不良で,といいますのは除草管理に失敗しま して,除草剤が効きすぎてイネまで枯れてしまい,何遍か追い播きをしたので すが結局うまくいかず,さらに第一作が後ろにずれこんでしまい第二作はでき
ないなということで,残念ながら中止になりました。直播は5月28日から行っ
ていますが,最初に栽培したロットのほうが被害がひどく,開花までたどり着 くものがございませんでした。このことはきっちり確認してすき込みを行って いますので,花粉飛散はございません。
引き続きまして,本年度の栽培計画についてご説明いたします。こちらも水 田と畑と両方でやりますが,まず水田の栽培については引き続き特性調査を行 い,旧農業環境研究所のほ場の枠水田で栽培を行います。栽培予定ですが,明
日,田植えをする予定です。それから 8 月にモニタリング調査と各種調査を行
いまして,10月に収穫を予定しています。そして来年の3月までに残渣等の処
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粉飛散のモニタリング調査を行います。今年度畑で,また,いもち病抵抗性と いうのもやります。こちらも同じく旧農業環境技術研究所の隔離ほ場の畑で調 査を行います。今年はうまいこと栽培して,二作やりたいと考えております。
第一作は明日撒きます。第二作は 8 月中旬を計画しておりまして,それぞれそ
の後,抵抗性調査を行い開花前にすき込みを行います。
交雑防止措置でが,畑では開花前に終わるので花粉飛散はありませんが,水 田に関しては隔離距離による交雑防止措置をとります。交雑の可能性が高まる ような低温があった場合,また,強風が想定される場合には抑風措置を取りま す。それからさきほどもご説明した通り,モニタリングを行います。混入防止 措置ということで,研究所内外のイネに,我々のイネが混じってしまわないよ う,混入防止措置を取ります。内容としましては,密閉容器に入れて運搬を行 う。隔離ほ場区画で使用した機器類は,持ち出し前に入念に洗浄を行う。野生 動物等による持ち出しを防止するために,網を設置する。収穫に関しては,脱 穀は隔離ほ場,または実験室で行い,専用の機械を使用するか,専用の機械が 使えない場合は機械等を隔離ほ場内で入念に洗浄する。収穫物は,密閉容器に 入れ厳重に保管する。こういったことを行います。
それから栽培終了後につきましては,必要な種子以外に関しては,完全に不 活化した後廃棄します。地上部に関しても刈り取り,オートクレーブまたは焼 却によって,完全に不活化します。残渣等については,すき込みによって不活 化するということになります。それと先ほど説明いたしました,つくば市の方 針に関する対応,そちらも同様に行います。以上です。
【座長】
ありがとうございました。ただいまの件につきまして何かご質問あるいはご 意見等がございましたらありましたらお願いいたします。
【一同】 意見なし
【座長】
よろしいですか。では続きまして「カルビンサイクル強化イネの栽培につい て」お願いします。
・カルビンサイクル強化イネの栽培について 【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
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験について報告させていただきます。よろしくお願いします。
始めに,カルビンサイクル強化イネの開発目的ということで,ラン藻由来の FBP/SBPase 導入イネ系統,今回植えているものですが,これは光合成の中で
特にカルビンサイクル関連酵素遺伝子をイネに導入し,その機能の強化を目指 したイネ系統です。カルビンサイクルの機能を高めることで光合成能力を高め, 最終的にイネの収量増加に寄与できるかどうかを調査する目的でこのイネを開 発しています。今話しました光合成ですが,太陽の光と空気中の二酸化炭素お よび根から吸収される水,これを用いてエネルギー源となる糖やデンプンを最 終的に合成する反応です。光合成能力が高まれば糖をたくさん作ることができ, 収量が増えていくことが期待できます。その光合成の中でカルビンサイクルは
何かということですが,光合成反応における代表的な炭酸固定反応,CO2 の C
の部分を固定する反応のことで,ほぼすべての緑色植物と光合成細菌がこの回 路を持っています。光合成の中でも,このグルグル回っているカルビンサイク ルという代謝,これがグルグルグルグル効率よく回ることで糖やデンプンがた くさん合成できることを期待しています。カルビンサイクル強化イネは,ラン
藻由来のフルクトース-1,6-ビスホスファターゼと,セドヘプツロース-1,7-ビス
ホスファターゼ,これをFBP/SBPと我々呼んでいますが,この遺伝子を導入し
た遺伝子組換えイネで,実はラン藻由来のこの遺伝子はここの酵素とここの部
分,これがいわゆる FBPase と SBPase という部分になるわけですが,これが
一つの遺伝子で両方とも機能できるという,2つの機能を持つ遺伝子です。イネ
ですとこれがそれぞれ一つ一つ別の遺伝子で機能していますが,1つで両方の 部分を強化できるということで,ラン藻由来の遺伝子を用いることにしていま す。今わたくしのほうからラン藻,ラン藻と言っていますが,ラン藻はシアノ バクテリアとも呼ばれている真正細菌の1群で,光合成によって酸素を生み出 すという特徴は植物と全く同じ機能である,ということはその光合成能力を上 げることに関しては,同じような遺伝子を使うことが期待できます。一部のラ ン藻は食用にもなっており,伝統的に世界各地で食材となっている経歴もあり ます。複数の種類ありますが,日本の伝統食品であるスイゼンジノリの原料に なっていたり,健康補助食品でサプリメントとしてラン藻を加工して乾燥させ てタブレット化したもの,これらを我々日常的に摂取しています。
一番大事な部分になりますが,栽培目的になります。カルビンサイクル強化 イネの導入遺伝子,いわゆるラン藻から取り出した遺伝子の発現量や,葉っぱ での光合成の活性を調べるとともに,ほ場で栽培するわけですから,出穂期, 草丈,稈長,穂長,有効分げつ数,これは茎の数のことです,等の生育調査お よび株全重収量,一穂籾数,種子捻実率,玄米千粒重,これを我々は収量調査
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実際にこのラン藻由来を使ったこの系統が有望なのかを選抜していくため,栽 培実験を行います。いわゆる温室の中で育てることはもちろん可能ですが,そ れでは本当の効果が見えず,やはりフィールドに出してみないと本当のパフォ ーマンスといいますか有効性が証明できないということで,この栽培実験を行 っているところです。
今回,農林水産省にも申請を出していないこの 4 つの系統,さらに派生系統
が小振りにあるわけですが,ひとつは我々が標準品種としてイネの世界で使っ ている「日本晴」という品種,もうひとつは収量を多くするのに一番注目され るべきターゲット,これは飼料イネの品種になるわけですが,飼料用イネ品種
の代表格である「クサホナミ」,もしくは飼料米として使われているイネ品種「モ
ミロマン」,これらを導入した系統を栽培しています。また,その中には,これ
は遺伝子を導入した際の断片だと思っていただければいいのですが,2つの種 類を使っています。この断片を入れた系統や,下の断片を入れた系統がありま
す。この 2 つ何が違うかといいますと,このピンクの部分が先ほどのラン藻由
来のFBP/SBP遺伝子ですが,その手前に,この遺伝子をイネの中のどの場所で どの時期に発現させるかを決める場所,ここの部分を制御領域,プロモーター と言ったりしますが,片方はこちらに書いた通り,全身でいつも恒常的に遺伝 子を働かせる制御領域,葉っぱでも根っこでも茎でもこの遺伝子を発現させた
らどういう結果になるか,また,こちらのpRbcAcと書いた制御領域を使うと,
葉などの緑色組織で遺伝子を働かせる制御領域,葉っぱだけで働きなさいとい うことで,ここだけで働かせたら同じような効果が得られるのかということで, 分けて実験しております。
昨年度の栽培実験の概要になります。旧作物研究所の高機能隔離ほ場で5aと
5a,2 面を使った栽培試験を行いました。5a といいますと,日本の中でも広大
な栽培面積になります。一番大きい面積の類になると思います。4月の下旬に播
種,育苗を行い,5月13日に隔離ほ場での移植,つまり田植えを行いました。
翌日防鳥ネットを設置し,8月の中旬に出穂期,10月27日に収穫を行って防鳥
網撤去というスケジュールで昨年は行いました。その栽培のレイアウトですが,
入口から入りこの 2 番のほうが通常の施肥区,普通の施肥状況で行った実験,
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し,5パーセントから10パーセント程度,光合成の速度があがる傾向があると
いうことが示されています。こちら稈長と言い,稈長というのは地際から穂首,
穂の手前までの高さをいいますが,これがこのオレンジ色ですが,薄いコント ロールのクサホナミに対してやはり若干高くなる,もしくは濃い緑のほうのよ うに,標準品種のクサホナ,コントロールのクサホナミに比べて草丈も若干あ
ります。草丈というと今度は地際から葉の先端までのことを言いますが,稈長,
草丈が若干上がる傾向があります。写真を見ると,やはり両脇にクサホナミの コントロールがあり真ん中に組換えがありますが,見た目も若干大きくなって います。ただ,これはたまたまここだけ肥料が高かったからこうなったかもし れませんし,今年の特徴的な天候状況もありますので,これを何年か続けて毎 年同じ結果が得られるかということが分かったうえで,この遺伝子はもしかし たら有望で今後応用することができるかもしれないという結果につながってい くと思います。
モニタリングの状況ですが,高機能隔離ほ場の真ん中にあり,その外周4点 にもちを植え,先ほどから説明しているキセニア現象を用いるわけですが,そ
の中にうるち米がどれだけ入っているかを調査しました。その結果,12473 粒
のうち,いわゆるキセニア粒,うるちの粒は確認されなかったことから,花粉 飛散による交雑は認められないという結論に至っております。
今年度の説明に入らせていただきます。場所は,旧作物研の高機能隔離ほ場 とで同じ場所になっています。4月下旬から播種,育苗を始めまして,今月の
19日に隔離ほ場での移植,田植えを行いました。今後,8月上旬に出穂を迎え,
10月下旬に収穫,11月中旬には脱穀,残渣等の処理を計画しています。交雑防
止措置もしくは混入防止措置,そして花粉飛散の防止等々,農水省の栽培実験 指針に定められていることは,先ほどの演者と同じような対応を取っていく予 定になります。また,つくば市の方針へも同様の対応を取っていきます。わた くしからは以上です。
【座長】
ありがとうございました。ただいまの件につきまして何かご質問あるいはご意 見等がございましたらありましたらお願いいたします。
【一同】 意見なし
【座長】
23 て何かご質問,ご意見ございませんか。
【一同】 意見なし
【座長】
次は議事(3)その他遺伝子組み換えに関する情報提供ということで2件ありま
す。まず「遺伝子組換えカイコの飼育について」,国立研究開発独立行政法人 農
業・食品産業技術総合研究機構からよろしくお願いします。
(3)その他遺伝子組み換えに関する情報提供
①国立研究開発独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構
・遺伝子組換えカイコの飼育について
【農業・食品産業技術総合研究機構:研究員】
わたしの話は,今日唯一植物でない昆虫,カイコの説明です。わたくしども のところでは,いろいろ遺伝子組換えカイコを作って研究しておりますが,多 くは実験室で飼っています。ただ一部,近々農家に持っていきたい系統につい ては,農家に近い環境で飼うということで,隔離飼育区画という施設での飼育 を行っております。本日は,昨年度の結果と今年度の計画についてご説明いた します。
最近では近くでカイコを飼っていないため,飼っているのをご覧にならない 方も多いと思いますので,簡単にカイコというものをご紹介します。カイコは 昆虫,完全変態昆虫でして卵から幼虫が出てきて何回か脱皮,皮を脱ぎながら 大きくなり,最後に繭を作りましてその中で蛹になって,そのまま放っておき ますと蛹が成虫になり,また,交尾して卵を産んで,とグルグル生活がまわっ ていく,そういう昆虫です。ただカイコは野生に生きている虫ではなく,人間 が飼っている虫です。野生では生きていけません。実際,人間が飼うときには どういう風にしているかといいますと,まず卵を作るのは農家ではなく,専門 の製造業者が雄雌の掛け合わせをして卵を作っています。そのあと出てきた幼 虫,数ミリの幼虫ですが,それをすぐ農家に持っていくことはなく,稚蚕共同 飼育施設という工場のようなところでいくつもの農家の分をまとめて飼う,と
いうことで生産の効率化を図っています。そのあと何回か脱皮をして,3齢ある
いは 4 齢という段階になっていよいよ農家に持って行き,今度は農家で,自分
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ので,農家ではその繭を製糸工場に出荷してしまいます。そうしますと製糸工 場のほうでは,この蛹から成虫が出てきてしまうと繭の商品価値が落ちてしま いますし,長期間の保存が出来ないので,通常は熱乾燥をして中の蛹を殺し成 虫が出てこないように,あるいは繭が長期間保存できるようにする処理をしま すので,通常農家で飼うカイコに関しては成虫は出ずに殺蛹してしまいます。
カイコの特徴としましては,野外では生きていくことができません。野外で カイコを見つけることはないと思います。何故かと言うと,幼虫は餌がなくな ってもその場で待っていて,人間が餌をやらないと生きていけません。極端な 話,人間が餌をやらなければ飢え死にして死んでしまいます。それから成虫に なりますと口がないので何も食べず,何も飲まず,羽はバタバタできますが飛 ぶことはできません。それから繰り返しになりますが,農家では成虫は出さな い,そういうような生き物です。
わたくしどもがカイコに注目して研究しているのは,物質生産能力,人間が 作りたいものを作る能力が非常に高いので,その能力を使い遺伝子組換えカイ コで人間の作りたいものを作らせるというものです。基本的には繭の糸はタン
パク質でできていて,非常に長く,1000m以上1500m程度の糸を作ります。そ
れから,産まれた時から繭を作るときまでの間で,体重は 1 万倍と短期間に非
常に大きくなるため,効率的に物質を作る道具としても使えないかということ で研究をしています。
今回ご説明をしますのは「緑色蛍光タンパク質含有絹糸」,名前が堅苦しいで
すが,緑色の蛍光を出す糸を作るカイコです。これは緑色蛍光タンパク質,通
称GFPと呼んでいますが,その遺伝子を絹タンパク質の遺伝子の一部に入れ込
み,その遺伝子をカイコに入れて系統を育成したものです。そうすると,繭あ るいは生糸がこのように緑色の蛍光を発し,すでにこういうものを使ってドレ スなどの試作を進めているところです。
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ります。プレハブで出来た簡単な飼育室です。農家もプレハブで出来た飼育室 を使っている場合がありますので,同じようなものをということで設置してい ます。このように窓がいくつかありますが,窓を開け放つ場合は網戸をしたり して対応しています。それからカイコを飼い終わった後は大量に桑の枝などの ごみが出ます。それをしばらく保管しておくため,このように屋根がついてい る場所を用意しています。今回の飼育実験は農家での飼育を模して行いますの で,卵から成虫まですべてを隔離飼育区画で飼うわけではありません。卵を作
るところから 2 齢あるいは 3 齢までは実験室で飼育し,その後農家に持ってい
くのと同じように,隔離飼育区画の飼育室に 4 齢あたりから持っていき,繭を
作らせ,その後は不活化処理と言いますが,中の蛹を全て殺す処理をして,繭 はその後糸の性質を調べる実験に用いています。
遺伝子組換えカイコの飼育において一番考えなければいけないのは,近縁野 生種であるクワコという蛾との関係です。日本各地,つくば市もそうですが, カイコと近縁なクワコという蛾が生息しています。人間が実験的に出会わせれ ば,カイコとクワコは交尾することが可能です。ただ実際に日本全国,これま で何千頭も,あるいは農家の近くでもクワコを捕ってきて調べていますが,交 尾してできた交雑種は見つかっておりません。このことから実際は交雑するの は稀か,起きていないかと考えています。理由はいろいろありまして,最初に お話ししましたように農家では成虫は出ないので,そもそも交尾する相手がい ない,あるいは外にカイコが出ても動き回れないためすぐ死んでしまうとかい ろいろありますので,おそらくそういう理由で交雑種は非常に起きにくいだろ うというふうに思っています。ただ,今回は初めて隔離飼育区画で飼育します ので,念には念を入れて交雑防止措置をとっています。いくつかありますが, 例えば成虫が出る前の段階で繭を集めて不活化,中の蛹を殺すという通常の農 家と同じような処理を行います。それから,幼虫飼育中はクワコとの交尾は当 然できないわけで,成虫でないと交尾できませんから,ただ念には念をという ことで飼育室の窓には網を張り,クワコの成虫が飛んでくるのを防止していま す。それから飼い終わった後に大量のごみが出ると先ほど申し上げましたが,
極力そういう枝の中にいる遺伝子組換えカイコは回収するわけですが,100パー
セントその中に残らないというのは難しく,多少は残る恐れがありますので, その残ったものが野生のクワコと交尾するのを防ぐために,そのゴミに関して
は隔離飼育区画内にある屋根のついている場所で全体に網をかけて30日間管理
をいたします。そうしますと,中にたまたまカイコが残っていても全部成虫に なって死んでしまう,ということが分かっております。こういう形で交雑防止 策をとっています。
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これは5齢になっていますが,5齢になった幼虫に朝餌をやる前の状況,こんな
感じで桑の葉を枝ごと与えて育てています。最終的には繭を作る幼虫をこのよ うにみんなで集めて,繭を作らせる容器に移すということをしています。ここ に線のように見えているのが桑の枝で,カイコが葉っぱを食べ終えて残った桑 の枝がゴミとして出てくるというわけです。繭を作るときに集めたカイコは, 蔟(まぶし)という格子状の入れ物ですが,ここに集めたものを入れまして, そうするとカイコがそれに振りついて登っていきます。それを天井から吊るし
ておくと,この中 1 個 1 個にカイコがそれぞれ繭を作るというものです。ここ
では繭の写真は用意していませんが,出来上がった繭は機械にかけ,中に入っ てできた繭を押し出すように回収し,その後不活化処理をします。飼い終わっ た後の枝などのゴミは,このように網で覆いまして天井がついている保管場所
で30日間保管します。そうしますと,ごく稀にこの中にカイコが残っていて成
虫になっても,すぐ死んでしまいますので,野生種との交尾はできないという ことです。
昨年度の飼育の結果ですが,計3回,春は5000頭程度,その後8000と9000, 約10000頭ずつ飼いまして,それぞれ5月,7月,9月から始めて6月,8月,
10 月に終わっている,順調に飼育をしています。それから交雑が起きていない
かというモニタリングも行っています。これは野生のクワコを飼育区画の周辺 で捕まえて,交雑していないかを調べています。捕獲する方法は,性フェロモ ンと言いまして,クワコの雌がお尻からにおいを出して雄をおびき寄せるとい う性質があります。そのにおいを人工的に作ったものがありますので,それを 使って雄の成虫を集め,このように吊るしたトラップのここに粘着板,とりも ちみたいなものがありまして,ここに雄がピタッとくっついて捕まえられると いうものです。これをクワコの成虫が発生する間中かけまして,その捕まえた 雄について,入れた遺伝子,光る遺伝子を持っていないかを実際光らないかど うかを見たり,あるいは遺伝子そのものを検査する方法をとりまして,組換え
カイコとクワコの交雑個体がいないかを調べています。去年は186 頭を1 年間
で捕まえて,実際交雑していたものは0という結果でした。
最後ですが,これは今年度の計画ですでに一部始まっています。5 月から 10
月の予定で,第1回は5月13日から隔離飼育区画での飼育が始まってすでに繭
を作らせており,予定では今週の後半から来週にかけて繭を収穫することにし
ています。そのあと第2 回,第 3回はそれぞれ 7 月,9 月ということで予定し
ています。私からは以上です。
【座長】